【AWC2015解説】 clanHeat White vs Requish – 1st map(FH後編) 【準決勝】

前編に引き続き、FoxHuntingの解説の後編です。

動画を見る時は、プレイヤーのすべての行動に意味があると思ってください。

最上位プレイヤーは、1つ1つの動作に意味付けをして、こうするのはこういう理由があるからというのがほとんどです。自分がプレイするときにも、このアクションにはどういう意味があるかを考えてみると上達の近道になります。

7R

Melofoポイントマン、MikaN指揮官、Taraスナイパーの3人が1階段、SiotanとNemcyが地下で待機という、clanHeat Whiteが攻め4R目でやっていたこととほぼ同じことをやり返す。

上記はRequishが攻めの形。下は前編で紹介したclanHeatの攻め4R目。

4R目、clanHeatの攻め。1階段に2人、中マン1、地下に2人でC4は地下。

MikaNのUAVの動きに反応し、Melofoがいい動き。煙に乗じて突っ込んできたAgpを煙のなかでHSで倒し、味方のMikaNを守る。続いて③0tanと交戦、ダッキングしながら瀕死に追い込むもL字奥に逃げられる。これを追いかけようとすれば赤上から撃たれることがわかっているため、追いかけることはできない。

また、ワインや書斎経由で裏とりが来ていた場合、中マンから撃たれるリスク、赤上を警戒して黄色コンテナに隠れてグレを投げようとしたときのL字から撃たれるリスク、長居したときに赤上から撃たれるリスクを考慮し、交戦を中断。赤マンから見えないように赤マン下まで素早く逃げる。

Melofoが敵と交戦しているあいだ、MikaNは赤マンをクリア。ここまでMelofoの動きはほぼ完璧。しかしそこで立ちはだかるのがAst。

MikaNと入れ違うようにAstが赤マン上から飛び出し、逃げるMelofoをキル。1階段のtaraSRを連続キル。ここでまさかのtaraSRがMikaNを寄ってきた敵と間違えて撃ってしまい、TeamKill。これで1側は全滅してしまう。

代わって地下側の動き。Melofoの動きに反応してJunが地下から1側の裏とりを決行。しかしこれを読んでいた地下の2人が撃墜する。ここでの人数差は5v3でRequish側が2人の人数有利。

しかし、地下2人の報告を得たgyulは2を守り続け、Siotanをフリーキル。ここで釣りの1側が全滅し、5v3から1v3の展開に。

ここからNemcy劇場が始まる。2前をクリアリングしにきたAstをキル。gyulが挟みにきてないかを確認した上で、Melofoから瀕死報告のあった0tanをキル。これが勝敗をわけた好判断。

人数が多いか少ないかというだけで、少ない側にとっては大きなプレッシャーとなる上、情報と陣地を取ることがキモとなる爆破の試合では、HPが少なかろうが生き残っているだけで大きなメリットになる。それを殺しやすい順に確殺していったのが人数不利を覆すことができた要因。

8R

開幕で少し意思疎通に乱れが出たRequish。開幕でグレを投げて倉庫INを阻止し、少し待ってから行こうとしたNemcyの目に見えたのはSiotanの姿。中マン経由で書斎から出てきた敵からSiotanをカバーするためにはトラック裏を取る他なく、トラック裏へ移動したところで、運悪くグレネードを被弾。2人が瀕死になる。非常に当たる確率の高いグレネードであるため、ぜひとも覚えておきたい基本グレの1つ。味方と合わせて書斎前やワイン前に投げるとさらに効果が高い。

被弾しHPの削れた状態では無理な索敵は余計な犠牲を払うことになると判断したRequishは、2前からの5人Rushを決行。

Nemcyのジャンプを撃ち損じたAstに対し、着地後に初弾HSを入れ瀕死にさせる。しかし、gyulの地下からのカバーが入り、NemcyとMikaNを連続キル。

体制を立て直し、少し引くgyulに対し、まだまだ数の暴力を忘れないRequish。AstをSiotanが倒し、人数は3v4で2中を制圧することができた。

clanHeatとしては先頭2人を倒したため、そのあと1流れを警戒し、赤マンで少し待機となる。しかし、逆にRequishとしては2を攻めようとはしているものの先頭が2人死んでいるため、素早い2寄りを警戒し、2窓まで取ることができない。リスクを取って2窓まで取っておきたい場面ではあるものの、生き残っているSiotanは瀕死、taraはSRで不向き、Melofoは地下にいる敵が素早く上がってくる可能性を考えて逆階段を抑えておく必要があり、誰も取りに行くことができない。

1流れの可能性を捨て去ったclanHeatは素早く2に寄り、地下から2人、2窓から2人という取り返しで、正面窓からは人数を削らせてくれない。

素早く階段をキープしていたMelofoは地下から上がってきたJunをスルーし、gyulを確実に倒す。そして、倒した瞬間に先に上がってしまったJunを倒すため、味方のカバーをしようとしたところまでは良かったものの、すでにtaraSRが処理しており、Melofoは2窓から来た0tanにやられてしまう。しかしこれで2v2とするも、制したのはclan Heat。

開幕で2人が瀕死になったものの、2中を制圧できたのはお団子の力あってこそであり、もう一歩というところまで追い込んだのはさすがと言える。

9R

開幕から2階段からのラッシュ。しかし行き先は2ではなく、2前通過しての1。ハシゴ下と2前は煙で潰し、何人通過したのかも確認させないまま、一気に赤マンに流れ込む作戦。西マンからは②taraSRが1をカットしている。その隙に④MikaNだけがハシゴ下から井戸まで抜け、漏れのないように索敵する。

赤マンでMelofo、Nemcyが倒されるものの、Siotanにより0tanとAgpを連続でなぎ倒す。

しかし、誤算だったのはJunの天然性

地下を守っていたはずのJunは、煙で遮っていた2前のトンネルを全力疾走で抜け出し、2前通過ラッシュの裏取りを決行。そのまま赤マンに入る⑤Siotanの後ろにピタリとつき、赤マンでそのままキル。普通は2前通過だと思ってもさらに後続がいるかもしれないと思うととても煙のなかに突っ込むなんてできないし、そもそも2前通過ラッシュだと判断してからの行動が早過ぎる。

そして惜しかったのが④MikaNの索敵。①Astともろに交錯し、ど近距離の戦いで負けてしまう。ここで勝っていたならば3v2で赤マンキープの1設置が決まっていた可能性が高い。

10R

非常に惜しいと感じたか、9Rと同じように攻める。clanHeatの配置はすべてのラウンドで変わっており、同じ攻めをしても対応が変わってくる。それは良いようにも悪いようにもなる。

同様の攻め方をするRequishは、先頭のMelofoのジャンプでAstの初弾を避けるも赤マンには入れずにAgpに落とされる。しかしそれをNemcyが食い返す。

ここで機転が効いたNemcyは赤マンではなく黄色コンテナの裏を通って赤マンの裏に回る。そのまま赤マンをSiotanと挟む形で入ったところで、Junの2前寄りの最速カバーと交錯する。そこでNemcyが2キルを取り、MikaNは井戸をキープ。理想的な1流れの形となる。

ここで思い出してほしいのは、1側で倒した人数。

赤マンで2キル、ゴミで1キルした場合、普通に考えれば1はすでにクリアで、2側に2人か地下から裏取りに1人と考えるのが筋。しかし実際に赤マンで倒されたのは2側から最速寄りを見せていたJunであり、1守りの0tanは生き残ったままだった。このJunの寄りとL字生存を見逃した(正確に言えばJunの寄りは察知できていない)結果、1守りは死んだとの勘違いが生まれ、設置後にあえなく取り返されてしまうこととなった。

総評

スコアは3-7と大きな差がついたように見えるが、実際の中身を見てみるとそれほど大きな差はないように思える。どちらかといえばRequishのほうが良い陣形を築けており、丁寧かつ綺麗で見栄えのする戦い方をしていた。

しかし、Melofo、Taraを代表するように反応は良かったものの運悪く敵と交錯するシーンがあったということはあれど、clanHeat Whiteの決め撃ちの精度の高さ、AIM力の高さは疑いようがなく、人数不利を確定しきれなかったこと、細かい撃ち合いで抜かれてしまったことがラウンドを取られることに直結してしまったように思える。

攻守の機転となるポイントマンとしての動きにおいて、⑤Junがほかの追随を許さない軽快さ、そして強さを兼ね備えており、予測不可能な動きから繰り出される非常に高いAIM力によってRequish側の陣形をことごとく壊されてしまったことが、最も大きな敗因となってしまった。

簡単に対策というほどの処置はできないものの、あれほど活発であれば開幕で交戦することができる可能性は高いため、開幕のグレネードで牽制するほか、SRで初動を狩るといったリスクも踏まえていかなくてはならないのかもしれない。

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