1R
守りから始まったF4Eは、1R目からラッシュ警戒の体制を取る。普通であれば、2:1:2で配置を綺麗に割り当てるものだが、F4Eが取った配置は1:1:3。2側に寄り気味のこの体制は、事前に確認したahqの試合動画で開幕での2ラッシュ傾向があったかF4Eが2を取られるのを嫌がっているのだと推測できる。
AIRPLANEは各交戦場所の距離が長く、スナイパーが活躍しやすいマップであるものの、それぞれの拠点を取る部分は入り組んでいるところもあり、ポイントマンも活躍しやすいマップとなっている。
そのためスナイパーは1側でも2側でも得意なほうに行きがちなのだけれども、⑤AfteR-SRが取ったポジションはセンター、それも引き目。もともと⑤AfteR-SRはあまり積極的ではないスナイパーであり、拠点取りはライフルマンに任せておいて要所の抑えを担当する癖がある。それでいて、ラストワンに残ってからでもスナイパーとしてワンチャンスを魅せつけるプレイをする。
これはahqの強みでもあり弱みでもある。スナイパーが積極的でない場合、敵が進行してくるのはライフルであり、こちらがスナイパーを出せば撃ち勝てる公算が高い。また、ライフル同士の交戦で勝算があればそのまま人数有利に持ち込みやすい。しかし、ahqはライフルマン自体に高い実力があるため、危険な場所では煙を焚き、人数をかけて潰し、食い返しを行い、確実に拠点を広げていける。それに対してF4Eがどう対処していくのかが見物となる。
こういったクラン読み、人読みというものが上位勢では当然のように行われていて、それを加味した上で動き方や作戦を決めることもある。
DDに3人かけてダクトを難なく取ったahqは、コの字制圧に入る。これはAIRPLANEの基本戦略であり、最も定番の拠点取りのやりかた。DDに3人→コの字に3人→2に敵を寄せて1側が本流。または2でキル発生→2に雪崩れ込み、センターはSRロック→1からは後ろから追い打ち。
1側へのシフトを悟られたくないahqは、自リス経由で1に寄る。ahqの2攻めを開幕から警戒していたF4Eは2側を固める。1から2に寄るかどうかの判断には当然、基準がある。
- 1と2のどちらが取り返しづらいか
これはAIRPLANEの場合、1のほうが取り返しづらい。入る入り口がHからとウラ取りのみであり、HからはDDとダクトから抑えられ、ウラ取りは遠回りな上にどこで待ち伏せされているかわからずリスクが高い。
- 取り返しづらい1中を1人で任せられる人材かどうか
1中は取り返しづらい分、取られてはいけない。とはいえ、2も取られたくはない。現時点での報告では2側に3人分という足音の報告が入っているはずであり、2に少し寄るのは当然である。もし寄っていなければ報告がないのかカバーの意識が低いかのどちらかであり、問題である。
取られたくない拠点を1人で任せられるかどうか、⑤Clutchには敵が来たときに味方が寄るまで死なずに耐え切ることができるかどうかが求められる。つまり、交戦を拒否して生き残る能力、時間を稼ぐ能力、敵を倒す能力が必要になる。その能力がなければ、1中を1人で任せることはできない。
1が本命の場合に備えて⑤Clutchは、1度目の交戦は前目、ダクトの目の前で行う。これは察知を早める目的と時間を稼ぐ目的がある。敵に近づくことで足音で敵の数に気づきやすいし、目視できればそれだけ早い。はじめから隠れていると、ダクトから侵入されるまで気づかなかったということになりかねない。
ahqからしてみれば1中に1人がいるのは確定しているものの、本来いるはずのもう1人が見えない。少なくともライフルマン1人は目の前にいるのであり、ダクトから降りるのには少し躊躇してしまう場面。躊躇してしまえば寄りが間に合うのであり、⑤Clutchの目的は躊躇させることにある。
前目で銃声を出して牽制した⑤Clutchが取るべき次の行動は逃走である。敵が万が一躊躇せずに突っ込んできた場合に、死んでしまっては1中が取られることになり、寄ってきた味方が死ぬリスクが大幅に高まる。そうならないために、確実に生き残れる場所に退避する。倒す能力というのは、やってきた3人を倒してしまう神AIMのことではなく、隠れた先を単独でクリアリングしてきた敵を倒す1on1を制する能力のことであり、今はまだ倒す能力が必要とされる状況ではない。
さて、DDに到着した①2.0Manは全力疾走でダクトからそのまま1設置に向かう。これはコの字取りを見せて敵を2に寄せたとはいえ、リス経由で寄ったために時間をある程度かけていて、2ではないと気づいた敵が1に戻ってくるよりも早く、手薄な1を攻めきるためである。
このシーンだけ見てみればahqの攻めは完全に成功しており、人数をかければ1中を取れる確率はほぼ100%と言って差し支えない。
しかし、⑤Clutchの牽制効果と②Apina-SRの位置がわからないahqは、急遽殲滅からダクト設置に移行。C4を①2.0Manからポイントマンである②DPowerに渡し、即設置を敢行した。
早め察知で1に全力寄りを行うF4Eに対し、DDから寄りをカットする⑤AfteR-SR。②Apina-SRを倒すも、④rionのグレと銃撃により食い返される。AIRPLANEの1は、ダクトを抑えられていると解除することができないため、DDからダクトを取り返す作業と必須となる。そのため、人数をかけてDDを取り返しにいく。その前に敵のHPを削るために、1中や青部屋付近からDD内に落とすグレは必ず覚えておきたい。
2R
前のラウンドで1側にSRがいることを把握したahqは開幕で煙を焚いてDDを取りに行かない作戦を取る。しかしUAVでしっかりチェックしており、敵に取らせるつもりはない。DDをあとにして先に取りに行くのはコの字。
しかし、F4Eも同様に配置替えをしており、1中は数押しに備えてライフルマン2人を中に置き、2側は②Apina-SRで初動を狩る。ahqとしてはコの字を取って2に寄せて、ダクトを②DPower1人に取らせて1側に戻して1R目を想起させ、本命はコの字とセンターの挟みを狙っていたと思われる。
そして発生するのは②Apina-SRのキル。③Bowを倒し、居場所がバレたので当然移動する。
①2.0Manがステージ角まで取れたことを利用し、2を諦めて1挟みへと移行する。DD内を完全にクリアしたわけではないが、引き目で1を守る相手に対して人数不利な状況で2に行こうとしても②Apina-SRにさらに数を削られて1からの寄りが早いために取り返されてしまう可能性が高く、2に行きたいのなら早い段階で1に集まって交戦を起こし、2から1に寄せた上で青部屋を確保し、2に再度流れるといった手順を踏む。
3R
1にSRがいる可能性があることを考えるとDD取りは煙が基本。
ahqはUAV持ちも合わせてDDを3人で探りにいく定番の動き。これに対し、②Apina-SRは毎ラウンドはじめの動きを変えており、敵に居場所を悟らせない工夫を凝らしている。
2側にアクションが少ないことを感じた③Takiはコの字から様子を見に行く。それに合わせて②Apina-SRはリスクの高い1側に寄る。それが功を奏し、敵がちょうどDDから出てきたタイミングで③Bowをキル。タイミングがよかったこともあるが、ahqが攻めの開幕2本を落とし焦っている印象を受ける。
本来であれば右壁沿いで進まなければ味方の食い返しを期待できないため、右壁沿いに行くか煙を焚くかの2択を迫られるが、それをしなかったのは焦っていたからかそれとも2:1:2で分断されていると予想していたか。1側を積極的に2度攻めており、寄りの早さを感じているはずなので、おそらく焦りのほうが強いと思われる。
ダクトから②DPowerが遅まきの煙を焚いたところで①2.0Manが全力で1中スナポジ側から取りに行く。煙を焚かれ、②Apina-SRは煙に影響されない青部屋に移行、入れ替わる形で①BoboboがHから1の援護に寄る。
④rionが①2.0Manに倒された瞬間、食い返すために無理をして①BoboboはHから侵入。①2.0Manを食い返したものの④47xに食い返される。この動きは正解で、もし行かなければ1中のたった1人残された⑤Clutchがスナポジとダクトに挟まれてしまい、確実にキルを取られる。しかも1中を取られてなお3on4での取り返しとなり、非常に厳しい。
それを回避するため、①2.0Manを倒すことで⑤Clutchの自由度が高まり、場所替えの時間が手に入る。実際、⑤Clutchはスナポジ側に移動しながらダクトから侵入してきた②DPower、ダクト内から覗いていた⑤AfteR-SRを連続キル。これにより人数は3on1に一気に傾く。1中で1人で連続2キルした⑤Clutchが活躍していることは言うまでもないが、それが成り立つためには裏で支えていた①Boboboの判断の早さがあったことを見落としてはいけない。
続きます。
コメント
非常にわかりやすく、参考になります。
ゆっくりでいいので次回もお願いします!