【解説】『敵の見え方が全然違う!?』アスペクト比と解像度、引き伸ばしと黒帯有りについて

前回はアスペクト比とFOVの関係についてお話ししました。

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こちらではCS:GOを題材に、「アスペクト比と解像度」、そして「黒帯有りと引き伸ばし」についてお話しします。

「アスペクト比と解像度」、「引き伸ばしと黒帯有り」を理解する

CS:GOプロゲーマーのアスペクト比と解像度

まず、CS:GOのプロゲーマーが選択しているアスペクト比と解像度を見てみましょう。

アスペクト比人数(249人)
4:3196人
16:925人
16:1022人
5:44
解像度人数(249人)
1024×768111
1280×96069
1920×108014
1680×105010

これは249名のプロゲーマーの設定のうち、人数が多い順に抜き出したものを表にしています。アスペクト比では圧倒的に4:3が多く、ほかは少数派です。解像度ではアスペクト比4:3である、1024×768がほぼ半数を占めています。

このことから、プロゲーマーの半数は1024×768で、さらにもう一段階上の4:3の解像度である1280×960まで加えると、249名中180名という7割以上のプレイヤーが低解像度の4:3でプレイしていることがわかります。

なぜ、これほどに低解像度が多いのでしょうか?

プロゲーマーが低解像度を好む理由

諸説ありますので私が見かけた範囲の答えになりますが…

ひとつには、『フレームレートをあげることで動作が快適になる』ということがあげられます。プロゲーマーだからといって必ずしもハイスペックのパソコンを持っているというわけではありません。配信をしながらだとなおさらFPSが稼げなくて厳しいという人は少なくありません。

また、普段はハイスペックで何も問題がなかったとしても、オフライン大会時にスペックの低いパソコンしかなかった場合に、慣れた解像度なので困らないという利点もあるようです。

私が経験した範囲でも、中国で行われたAVAの世界大会では、選手によってパソコンのスペックが違い、200fps出る人もいれば100fps出るかどうか怪しいこともありました。モニターも120hzやら60hzやらが混在していて、選手やチームによってはじめから差があって驚きました。

日本ではネカフェ大会ならまだしも世界大会という場でそのような有利不利があることはあまり信じられませんが、海外では平気でそのようなことが起こるので、大会という場で普段どおりの実力を発揮するために、普段から低い解像度に慣れておくというのは思っている以上に重要です。

なお、1024×768の一段階小さい800×600は、文字が読みづらくなるため敬遠されています。

4:3における黒帯有りと引き伸ばしの違い

どちらも解像度は1024×768
引き伸ばし(Stretched)黒帯有り(Black Bar)

4:3の解像度には、引き伸ばしと黒帯有りという2タイプがあります。

これがなぜかというと、みなさんが普段使っているモニターは、ほとんどがアスペクト比16:9で解像度1920×1080のフルHDで呼ばれるサイズのはずです。そのため、4:3の1024×768でプレイしようとすると、無理やり引き伸ばすか、引き伸ばさないなら左右に黒い帯が出てしまうかのどちらかになってしまいます。これはグラフィックボードの設定でどちらでも好きに設定ができます。(NVIDIAではこちらを参考に設定変更してみてください。)

上の2つの画像では見え方は違いますが、これはどちらも4:3で解像度は1024×768です。上下左右、見えている範囲に違いはありません。

プロゲーマーは引き伸ばしと黒帯のどっちを使ってる?

4:3の解像度を使っているCS:GOのプロゲーマーのうち、引き伸ばしと黒帯はどれくらいの割合で分かれているのでしょうか?

アス比4:3の198名中人数割合
引き伸ばし122名62%
黒帯76名38%

圧倒的というほどではありませんが、引き伸ばしのほうが人気です。

では、引き伸ばしと黒帯ではどのような差があるのでしょうか?

4:3(引き伸ばし)4:3(黒帯)

左上の真円が、左の画像では少し楕円になっています。また敵モデルも引き伸ばしのほうが少し太って見えます。

わかりやすいようにGIFにしてみましょう。

人が横に太っているように見えますよね。

では、そうすることでどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

引き伸ばしと黒帯のメリット・デメリット

人によって理由はさまざまですので、特徴をあげてみます。

4:3(引き伸ばし)の特徴
  • 敵モデルが太って見えるため、当てやすい。
  • 左右移動が速く見える。

移動が速くなるので敵の飛び出しに対しては弱くなるのですが、CS:GOはストッピングをして撃ちますから左右移動をしながらレレレ撃ちをしてくることはあまりありません。初弾HSを当てるということに重きを置くなら、敵モデルが大きくなることがいちばんのメリットだと考える人が多いようです。

4:3(黒帯有り)の特徴
  • CS1.6の頃から4:3のサイズに慣れている。(CRTモニターは4:3だった)
  • 画面の真ん中に集中できる。
  • 16:9だとレーダーの位置が遠い。(目線を遠くへ送るので隙が大きい)
  • 色覚異常で、画面を狭くしたほうがピントが合う

こういった理由から黒帯有りが選ばれるようです。こればかりは慣れや好き嫌いの問題になってきます。

16:9と4:3における視野の広さの違い

ところで、CS:GOは、1920×1080(16:9)と1024×768(4:3)ではHFOVの広さに違いがあります。

アスペクト比
16:9の解像度4:3の解像度

HFOVの広さが全然違うことにすぐ気づくはずです。16:9では左の建物の上の看板が表示されているのに対し、4:3では隠れてしまっています。右に立っている人も4:3では見えていませんね。

このことから、16:9が推奨されると思いきや、実際には4:3のほうが多いというのは、先程あげたように、やはり引き伸ばしをして敵モデルを大きくしたいという理由や4:3のサイズに慣れている、または画面が狭いほうが画面の真ん中に集中できるといった理由があるのでしょう。

CS:GOをあまり知らない人に補足しておくと、CS:GOは狭い通路が比較的多く、ひらけた場所というのがあまりありません。よって、HFOVを広く取って索敵する必要がなく、クリアリング時に正面に敵と捉えることができればそれで十分と考えるプレイヤーが多いのです。

さいごに

4:3の引き伸ばしと黒帯有りの違い、4:3と16:9の違いはお分かりになりましたでしょうか。今回はCS:GOを題材にしたので、他のゲームでは勝手が違うこともあります。

どのような設定がそのFPSにとって最適なのか、自分自身にとってはどれが最適なのか、いろいろ試してみて、最高の設定を見つけて強くなっていきましょう!

次回は、R6Sで最適なアスペクト比と解像度について考えてみたいと思います。

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